第三次世界大戦は絶滅戦争になるであろうと予想していた冷戦中の東西両陣営では、これ以上なく真剣に戦争の準備をしていました。その中には、生体改造をほどこしたネコに大使館を偵察させる「アコースティックキティ」計画をはじめ、ユニークなアイディアやプロジェクトが多数あります。CIAが開発をすすめていたこちらの無人偵察機は、原子力電池を用いて1か月間も偵察を行う、という非常に意欲的な目標が掲げられていました。

第二次大戦後、東西冷戦によって緊張が高まると、両陣営は相手の奇襲を警戒してスパイ・偵察合戦を激化させました。そんな中、1960年にアメリカ・CIAのU-2偵察機がソ連領内で偵察飛行中に撃墜されるという事件が発生し、政治的スキャンダルとなりました。

相手の情報は欲しい、しかし偵察活動が露呈することによる政治的なリスクは避けたい。ならば発見されにくく、撃墜されたり鹵獲されたりしても身元がわからない無人の小型偵察機を用いればよいのでは……ということでスタートしたのがCIA初の無人偵察機プロジェクトである「Project Aquiline」です。

Project Aquilineではマクダネル・ダグラス社と共同で大型の猛禽類に近い全幅7.5フィート(約2.3メートル)、離陸重量83ポンド(約37.6kg)の無人機が試作されました。3.5馬力の4サイクルエンジンを搭載し、速力47~80ノット(87~148km)で高度6000メートル飛ぶという速力よりも滞空時間を重視した設計で、その目標航続距離は実に1200マイル(1931km)という長大なものでした。

この無人機にカメラや電波傍受装置を搭載しソ連、中国といった共産国家との国境近くからリモートコントロールで偵察を行う計画だったといいます。データの記録媒体がフィルムや磁気テープといった重たいメディアしかなかった時代なので、メディアが回収され偵察目標が明らかになるリスクを避けるという面からも、得られたデータは近くを飛ぶ母機に電送するという方法が考えられていました。

なお、エネルギー源として新宇宙探査衛星にも搭載されているいわゆる原子力電池を使用し、最大1か月という超長期間の偵察を行うという壮大な計画もあったようです。

この間、超高高度偵察機や偵察衛星などの開発と高性能化、そしてカメラの光学性能の向上、小型無人偵察機の技術的限界など色々ありProject Aquilineはプロトタイプを開発しただけで現場に投入されることなく終了しました。

近年では、スマートフォンやBluetoothといった小型化・微弱化する電波源の探査のために、より地表近くを目立たず飛べる上に人的被害のリスクの少ない小型無人偵察機の利点が再度注目されています。最近ではアメリカ軍がとかく大量に投入してくるので、テロリスト集団のほうでも色々な対策をしているようです。

アルカイダが考えた「無人偵察機から逃げるための22のテクニック」 – DNA

ソース:Aquiline | CIA FOIA (foia.cia.gov)