ある事故で何が起こったのかは、現物・現地を調べる他にも公開情報から類推することも可能。分析技術やノウハウの発達によって、その精度もかなり向上しています。先日、ベイルートで発生した超大規模な爆発事故について、ロンドン大学の研究機関であるForensic Architectureが様々な角度から検証を行いました。

こちらは最初に爆発を伝えたツイート。まずこの画像を事故の時系列・空間の基準点とします。

画像に写っている建物から撮影地点を割り出す。

そして煙の形状をベースにして、他の動画とシンクロさせます。

時間が経つに従って煙の色が変化していき、違う貨物に引火していることがわかるところ。

位置がやや変わり、花火のような火薬に火がついたようです。

そして最大の爆発が発生。

火球の位置から爆心地を割り出すことができました。

この時、爆炎は755メートルにも達したようです。

その他、いくつかの動画を合わせると、3ヶ所で違う物質が燃えていたことが分かりました。

それでは倉庫の中ではいったい何が起きていたのでしょうか?爆発直前の動画からは密閉空間であったことが伺えます。

報告書では5年以上前から貨物の危険性が指摘され、軍に管理を移管を要請するも却下されていた……という経緯が明らかになっています。

新聞に掲載されていた内部の写真には、硝酸アンモニウムが変質している様子が写っていました。

照明の位置やドア番号から硝酸アンモニウムの位置を特定。

写真ではこのような位置に硝酸アンモニウムが積まれていました。

ここから推測される実際の硝酸アンモニウムの量はこんな感じに。外から観測された火球の爆心地とも一致します。

倉庫には2750トンの硝酸アンモニウムの他23トンの花火、車のタイヤ1000本、導火線などがあったと言われています。

煙の色からこれらの位置を推測し、配置したものがこちら。着火しやすい花火が高熱を発するタイヤに点火、周囲の温度が上がり、密閉された中で本来点火しにくい硝酸アンモニウムが爆発した……と、倉庫全体が爆弾のような構造になっていたことが分かりました。

なお、イギリスやオーストラリアの危険物規制に準じた配置の方法と比較しても、あまりにもずさんな管理であったことが分かります。

動画はこちらから。またフォレンジックに使用された3DモデルなどはこちらのGitHubで公開されています
The Beirut Port Explosions (English) on Vimeo

デジタル技術によって記録自体が高精度かつ多様なものになり、より正確な状況の把握が可能になりつつあります。警察の鑑識による3Dスキャナの導入も進行しているようです。
現場の空間を丸ごと記録できる3Dスキャナをニューメキシコ警察の鑑識課が導入 – DNA