テキストと画像だけでなく、動きのあるWebページを作るべく登場したAdobe社の「Flash」。2020年12月31日に惜しまれつつもサポートを終了し、翌年1月には動作が停止しましたが、この影響で中国・大連の鉄道ダイヤシステムが20時間に渡って停止するという事件が発生しました。

「Flash」はYouTubeのような動画配信サービスのインターフェイスから、ブラウザで遊べるゲーム、インタラクティブアートの舞台などWebで非常に広く使われたプラグイン。しかし陳腐化によるセキュリティ上の問題も目立つようになり、ここ10年の間でHTML5への移行が進められました。

そういうわけでAdobe社からは2020年末のサポート終了がだいぶ以前から告げられていたわけですが、大連の鉄道事務所、大連車務段はこの対応を怠っていた模様。以下は大連車務段の「微博(ウェイボー)」アカウントから発信された内容をまとめたものですが、Flashの動作停止に関してまったく準備していなかった様子が伺えます。

2021年1月21日 8:16
鉄道システムから編成表が表示できないという第一報。その後30分の間にほぼすべての駅から同様の連絡。運輸当局やネット上の情報を検討した結果、Adobe社のFlashの使用期間が終了したのが原因と判明。

8:41
コンピューター室から警報を発令。広く状況報告を求めるとともに、システムの復旧とソフトウェアの問題部分の発見、予備ハードウェアの準備チームの編成が行われる。

8:51
全スタッフにより、各駅のシステムのリモートでの改修作業開始

9:30
細かな動作不具合の報告が続くも、応急的な復旧を継続。

12:10
応急処置の終了。

13:00
コンピュター室での第2回会議。現段階での復旧は仮の措置で、恒久的なものではないと確認した上で、バックアップのハードウェアへの交換準備、ソフトウェアの問題の処置が決定される。

14:11
再度システムがダウン。AdobeのFlash停止は世界的なもので対処できないと判断。

20:17
Nanguanling 及び Dalian West Railway Stationでの動作試験のために旧バージョンのソフトウェアをインストールしたシステムを積んだ自動車が出発。

20:31
ソフトウェアの改修に進展。修正内容はすぐシステムに反映され、一時回復する。コンピューター室は歓声に包まれる。

22:20
3回目のシステムダウン。Ghostバージョン(注:海賊版?)においてもFlashが動作せず。復旧に全力がそそがれる。

2021年1月13日 1:09
Ghostバージョンが動作再開。担当者は動作不良の原因の分析を開始。

2:34
一部の駅を除きFlashの動作停止を回避する改修を完了。問題の残るハードウェアを交換するべく、担当チームが自動車にバックアップハードを積んで現場に向かう。

3:42
現場での作業完了。

4:30
システム復旧を確認。

関係者のチャットによると、最終的には古いシステムと古いFlashを再インストールすることで、Flashの利用停止を回避するようにしたようです。

大連車務段の発信する対応内容のあまりのお粗末っぷり、そして「我々は希望を失うことなく復旧に全力をそそいだ」などの開き直りっぷりに失笑を隠せない中国ネットユーザーが続出。また、一部Windowsシステムはどうも海賊版を使用していた様子で、メディアからも否定的な報道が続いています。現在、上記の内容は微博から削除されていますが、有志がGitHubにてコピーを公開しています

なお、上記の内容からは脱Flashのための施策が読み取れないなどまだまだトラブルが出そうな気配が濃厚。割とカジュアルに管理システムが誤作動する印象の多い中国ですが、いったいどうなってしまうのでしょうか。
「波のあるプール」の管理システムが誤作動すると大変なことになる……という動画 – DNA

ソース:【连车新闻】全力攻关一昼夜,确保运输三十站 · Issue #4135 · duty-machine/duty-machine · GitHub

系统盗版软件落后还发表扬稿 大连车务段遭群嘲 – 看传媒新闻网